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お母さんが夕食の支度をしている中、家に入った。
お父さんはまだ帰っていないらしい。
いつも通り部屋にカバンとローファーを入れ、鍵を閉めてから。
私は半分片付けられたお兄ちゃんの部屋に入った。
「ごめん」
一応、自分自身にそうぶつやき、お兄ちゃんのパソコンを起動した。
ネットのブラウザを立ち上げ、履歴を見る。
そこに残されていたのは、いくつかのURL。
クリックすると、女子もののアクセサリーブランドのサイトが開かれた。
嬉しくて、右腕に光るブレスレットを蛍光灯にかざす。
わざわざ私へのプレゼントをどうするか、調べてくれていたんだ。
腕を揺らしてラインストーンに光を反射させた。
でも――これを買ったせいで、お兄ちゃんは事故に遭った。
お兄ちゃんが死んだのは私のせい?
私があの誕生日じゃなければ。
私が生まれてこなければ――。
どくんと深く心臓の音が鳴り、左袖をまくって傷を眺める。
無性にカッターナイフを手にしたくなったけど。
『自分傷つけるくらいなら、俺を傷つけていいから』
さっき圭太から伝えらえた言葉が頭に浮かぶ。
抱きしめられた温もりを思い出す。
バカだなぁあいつ、と思うと同時に、思考がもとに戻された。
そうだ。今考えることは違う。
再び私はパソコン内を探った。

