きたない心をキミにあげる。



彼のパーカーに顔がうずめられる。


どくんどくんと彼の鼓動を確かに感じた。



今、私はどんな表情をしているんだろう。


見られなくてよかった。


抱きしめてもらえてよかった。



「何で、あやまるの?」


「だって。こんなことしちゃって」


「…………」


「俺、バカみたいだよね。自分でも意味わかんない」



震えた声が体を伝って聞こえてきた。


セーラー服の後ろ襟がぎゅっとつかまれている。



どうしよう。私の鼓動も早くなっている。


それに気づかれたら恥ずかしい。



「確かに。圭太にこうされるの慣れない。そろそろ離してよ」



なるべく冷静さを保ったままそう伝えたが、

圭太の頬にあてられた手首に、ぬるい水滴が伝ってきた。



え……こいつ、泣いてる?



私の手首の傷に、彼の涙が混ざり合う。


顔を上げようとしても、彼の腕は私を離してくれない。