きたない心をキミにあげる。



圭太は無言のまま。


時々ちらっと私を見ては、すぐに視線をそらした。


その様子にぷっと口元がゆるんでしまう。



しばらくそのままスーパーに向かって歩いていたが。



「ん~~」



突然圭太はうなり声をあげ、左足でケンケンしながら私から離れた。



ちょっとやりすぎたかな?


女慣れしてない男子には限界だったかな?



だけど、その手は、私の腕をつかんだまま。



正面に向き合われると同時に、一回、ゆるめられてから再び握られた。



「どしたの?」


「愛美」



さっきまでの照れ顔とは違い、真剣な表情。低い声。


メガネ越しの目も、私をしっかり見据えている。



急な変化に驚き、私は彼から視線をそらせなかった。



「なに?」


「…………」



彼が握っているのは、私の左腕。


お兄ちゃんのブレスレットがついていない方。



圭太はもう片方の手で、私のセーラー服の左袖のボタンを外した。


ひんやりとした空気が腕まで伝ってくる。



「ちょっと」



抵抗する前に、軽く袖がまくられた。



高い街灯の下で。


あらわになったのは、私の左手首の傷だった。