肩に回された手に触れると、ぴくっと彼の体が動いた。
ちらっと上目で顔を見てみる。
予想通り、圭太は頬を真っ赤に染めていた。
「何? 照れてるの?」
「そりゃ」
「女の子の肩抱くとか、何気に手つなぐよりハードル高くない?」
「まあ」
「ねー今どんな気分? ドキドキするの?」
「言わない」
「目そらしすぎ。こっち見てよ」
「うるせーな。……早く松葉杖返して」
女の子とこんなに触れ合ったことないんだろうな。
そう思うと、もっとくっついていたくなる。
反応が可愛くて、圭太をもっとドキドキさせたくなってくる。
彼がちゃんと動いている証拠を私の体に刻み付けたくなる。
「俺、重いでしょ」
「うん」
「だから松葉杖……」
「やだよ。だって圭太可愛いんだもん」
「は!?」
さっきまで勉強で私のことバカにしていたのに。
今は耳まで赤くして、照れまくっている。
彼の息遣いや鼓動が伝わってきて、私も胸が高鳴った。
お兄ちゃんの部屋で不自然な穴やひっかき傷を見て以来、
私は何かから必死になって逃げている。
だけど、今、圭太と一緒にいる時間が、とても楽しかった。

