きたない心をキミにあげる。



カタン、とカッターを床に落とし、スマホを探った。



『ごめん返信遅くなった。昼休み、友達にスマホのぞかれてから今日ずっと怪しまれちゃって。今は家で勉強してるよ』



圭太からのラインだった。



すぐに『愛美は? 今日は大丈夫?』というメッセージが続く。



「ばかじゃないの……」



どうして私に手を伸ばしてくれるのだろう。



私、あんたのこと殺そうとしたんだよ。


利用しているだけなんだよ。



心がバラバラだ。


目の奥がぎゅっと熱くなった。



ゆっくりとスマホの上で指を滑らせる。



『今日は大丈夫だよ。お母さんいるし』


『ならよかった』


『てか、勉強じゃなくてどうせアニメ見てるんでしょ』


『別にいーじゃん』



やっぱりアニメ見てるんだ。オタクだ。


この前も普通の番組見てるって言ってたくせに、思いっきりテレビにアニメ映ってたし。



思わず口元がゆるんでしまう。


同時にぽろりと瞳から涙があふれだした。