母は弘樹の葬式に行ったから、愛美のことを知っていた。
帰ってくるなり彼女が家にいるのを見て、驚いていたが。
「今日親がでかけてて家で1人で……。圭太さんに連絡したら、じゃあ俺の家に来いよって誘われて」
と愛美に話を盛られたため、
「へー。そうなんだー。へー。圭太がねー」
と母にニヤけた顔を向けられた。
いや、確かに家に連れ帰ったのは事実だけど。
別にそんな言い方してねーし!
台所で、彼女は母の料理を手伝っていた。
こなれた手つきでフライパンで何かを炒めている。
意外だ。料理、できるんだ。
あはは~、と時々台所から笑い声が聞こえてくる。
早くも母と打ち解けているようで、ほっとした。

