「ほーら。よいっしょ、よいっしょ」


「うるせーな。年寄り扱いすんな」



友達に助けられながら、俺は高校に再び行き始めた。


弘樹の机にはしばらく花瓶が置かれていたが、席替えとともに彼の席は無くなったらしい。



「圭太ぁ! 久しぶり!」


「圭太くん、無事でよかったぁ」



「うん、久しぶり」



笑顔で俺を迎えてくれたクラスメイトにどんな顔をしたらいいか、分からない。


弘樹がいなくなった教室で、どう立ち振る舞ったらいいのだろう。



『圭太、おはよう』



窓からの朝日に髪を茶色く染め、優しく微笑む弘樹の姿はもうない。