きたない心をキミにあげる。



風が吹き、一枚の枯れ葉がひらひらと私たちの間を舞う。


それがアスファルトに滑り落ちた時。



「急にごめん。あの、これを届けたくて」


と言って、彼、水越圭太は松葉杖を脇に抱えたまま、パーカーのポケットを探った。



金色とカラフルなラインストーンが、光を放つ。



ぐっと息が詰まり、胸が苦しくなる。



彼が差し出したのは、無くしたはずのお兄ちゃんの形見――ブレスレットだった。



「それ……っ!」


「俺のベッドに落ちてた。たぶん、あの時――」



やっぱり、彼の病室で落としていたんだ。


首を絞めようと夢中になって両手を動かしたから。



ブレスレットを受け取り、セーラー服の袖を少しまくって右腕につけた。


お兄ちゃんとの思い出がよみがえり、きゅんと胸が締め付けられた。