きたない心をキミにあげる。










どうにもできないまま日々は過ぎていく。


そんな中、彼との再会の時は突然訪れた。



「あのぅ……」



授業が終わり、校門を出た時。


おどおどした表情を浮かべた、一人の男の子に声をかけられた。



どくん、どくん、と心臓が激しく鳴る。



一緒にいた友達に先に行ってもらい、私は彼に近づいた。



ふわりとした髪の毛に、黒縁メガネ。


上はグレーのパーカーで、下はハーフパンツ。



そして、右足には真っ白なギプス。



その姿は、歩道を行き交う同じ高校の生徒たちからは、明らかに浮いていた。



「ご、ごめん。こんなとこで待ち伏せしちゃって」



松葉杖を握り直し、ゆっくりとした動作で。


その固そうな白色をアスファルトにつけないようにしたまま、彼は私のもとへ向かってきた。



「何か用ですか?」



動揺していることをなるべく隠したくて、低い声を発する。


彼は一瞬メガネ越しの目を見開いた後、視線を落とした。



ボロボロな状態の彼に、優しい言葉なんてかけられなかった。



だって、こいつは私があの時殺そうとしてしまった、男の子

――水越圭太だったから。