同情することはできない。
現にそのクセのせいで彼は俺の大切な人たちを傷つけた。
俺はすっと息を吸ってから、口を開いた。
「だったら二次元に求めたらどうですか?」
「え?」
「最近は大人も楽しめそうな美少女ものありますよ」
「………ぷっ」
「えっちな同人誌とかもたくさん……」
「あはははは! きみは本当に面白い子だね。……まあしばらくは人を傷つけないよう頑張るよ。妻を養う義務が僕にはあるからね」
あれ、結構まじめに提案してみたんだけどな。
笑ってかわされてしまった。
家に着く頃には、雨は止んでいた。
その男は弘樹によく似た悲しそうな笑顔を浮かべ、「じゃあね」と言って俺を車から降ろした。
それからしばらくたったある日、一通の手紙が家に届いた。
愛美はしっかりと生きていることが分かった。
俺も、生きてるよ。
無性に会いに行きたくなったが、まだ、その時じゃないと思った。
スマホにある2ショットの写真を眺めて時をやりすごした。

