障子の隙間から差し込んできた朝日がまぶしくて、目を開けた。



「圭太、おはよ」


「うん……おはよう」



くそ。もんもんとしすぎて、マジでほとんど寝れなかった。


人の気も知らないで、すぐすーすーと寝ちゃうし。本当ナマイキなやつ。



旅館の朝ごはんを食べている時、愛美はよく笑っていた。



昨日、もうあの家に帰らない、と言った彼女。


これまで通り、一緒にいれるのは今日が最後なのだろうか。



だったら昨日、思いっきり抱きしめておけばよかった。



涙をこぼしながら、本音を吐き出してくれた様子が、

あまりにも可愛くて、はかなくて、美しくて。



だけど、真逆の2つの感情が俺の中に生じてしまった。


弘樹のことを忘れたくないと言った彼女に対して。



いや、でも……


本当は触りたかった。キス、したかった。



それで――。



って朝から何えろいこと考えてるんだ!?



分厚い財布から万札を出し、旅館のフロントで会計をすませる後姿を眺めながら、再びむらむらとしてしまう。



こら落ち着け、俺!



だって、これから、とうとう行くんだ。


弘樹のお墓に。