ガタンガタン、と一定のリズムで電車は揺れる。


ある地方都市を過ぎると一気に車内の人は減った。



休日の夕方の時間がゆっくりと過ぎていく。



山登りの行きか帰りらしいおじいさんおばあさん。


部活用のバッグを床に置いた騒がしい中高生たち。


小さな子どもやベビーカーと一緒に乗って来る夫婦らしき男女。



窓の外にはビニールハウスや畑など、のどかな風景が広がり始めた。



2本に戻った松葉杖で進む圭太を連れて、私はある場所へと向かっていた。



「ねぇ、何でまた足悪くなってるの?」


「や、その。ちょっと転んじゃって」



隣で気まずそうにつぶやく圭太。


あの時、もしかして私を追いかけてくれたのだろうか。



そう思いつつも、

圭太なら本当にやりかねないから、それ以上聞かないでおいた。



その代わり、彼のパーカーの裾をぎゅっと握り、


「あんたバカぁ!?」と伝えると、


メガネ越しにジトーッという音が似合う目を向けられた。