きたない心をキミにあげる。



「あの、これって閉じ込めてるんじゃないんですか?」



固く閉じられた扉の前で。


俺は、追いついてきた愛美の父に問いかけた。



その表情は変わらない。怪訝そうに俺を見つめているだけ。



「それよりも、圭太くんのしてることは不法侵入だよ。早く出ていかないと警察呼ぶよ」



俺の言葉にひるむことなく、愛美の父はそう口にした。


内心ビビりながらも、俺は負けてはいけないと思った。



「警察来たら危ないのはそっちじゃないですか? 監禁ですよね? これって」


「ははは、面白いこと言うね。これ内側からも鍵開けられるようになってるんだよ。愛美ちゃんが閉じこもってるだけだよ」


「じゃあ、何で愛美は助けてって言ったんですか? 愛美に何かしたんですか? 何かしたから閉じこもってるんじゃないですか?」



嫌な想像が頭の中を駆け巡る。


荒れたリビング。散らばったクッション、ばらけた状態のソファー。


最後に送られたライン。


URLに載っていた記事。


高校生とみだらな行為をして逮捕。



もしかして、愛美は――。