「圭太?」
じーっと彼の様子を眺めていると、視線がそらされた。
蛍光灯の光がメガネに反射して、その表情はよく見えない。
どくん、どくん、と嫌な鼓動が響く。
ソファーに置かれた彼の手に、自分の手を重ねた。
こういうことでしか、彼の気持ちを向かせることができない自分が悲しい。
だけど、触れていたかった。
圭太が私から離れていくような、不安な気持ちに襲われたから。
彼が私を見た瞬間、重ねた手に指をからめた。
早く、話題を変えなきゃ。急げ。
「あのさ、あと。圭太に何かお礼したいんだけど」
「……お礼? なんで?」
「だって、ここにいさせてもらってるし。勉強教えてくれたし、ポッキーも取ってくれたし。ねぇ~何がいい?」
「え。そんなん気にしなくていいよ」
「私が何かしてあげたいの。あ。コスプレとか?」
「は!?」
圭太はメガネ越しに目を見開き、片方だけ口角を上げた。
「たぶん私、衣装とか結構イケると思うんだけどなぁ」
「まぁ、いろいろ似合いそうだけど。って、いいよ別に!」
「あはは! 何か想像してたでしょ、今」
「うるせーな」
やった。赤くなった。
それだけで胸が熱くなるくらい嬉しくなった。安心した。
圭太は、気まずそうに髪の毛をいじりだす。
そんな様子でさえも、愛おしいと思った。

