きたない心をキミにあげる。




「あ、愛美ちゃんおかえりー。遅かったね」


「今日もすみません。ご飯手伝いますよ」



圭太のお母さんもまた、明るく私を迎え入れてくれた。



明日は終業式だ。


学校がなくなれば、予定は友達と遊ぶか、バイトだけになる。



それ以外は、圭太の家で過ごしてもいいのかな……。



夕食の手伝いをして、3人で食卓を囲む。


圭太は今日が終業式で、明日から春休みに入るらしい。



「どうせあんたアニメかゲームざんまいでしょ?」


「別にいつも通りじゃん」



圭太はお母さんにもオタクでいじられている。


その様子が面白かった。



「ねー愛美ちゃん、どう思う? このオタク男子」


「あはは。趣味があってうらやましいですよ」


「かばわなくていいって。本当女っ気ないし、たまには現実の女の子と遊んで来いって感じ」


「ちょ、俺、足まだ治ってないから」



2人の会話に笑いながら、手元で震えるスマホをチラッと見た。



『愛美、もうすぐ春休みでしょ? いい加減帰ってきて。お願い。お母さんが悪かったから』



お母さんからのメールが届いていた。


どうしよう。いったん家に帰った方がいいだろうか。


このまま圭太の家に迷惑かけるのも悪い。



お父さんからのメールは見たくなかったけど、

お母さんからこんなに連絡が来るのは初めてだった。



昔からケンカはしていたけど、ここまで私に構ってくれることはなかった。


少し心が苦しくなった。


仲が良い母と子どものやり取りを目の前にしてるのもある。