次の日は、圭太のお母さんから靴を借りて、彼の家から高校に通った。
下着や簡単な着替え、新しい靴はバイト代で買っておいた。
まだ、家に帰る勇気はなかったから。
バイトを終えて、夜遅くに彼の家に向かう。
インターホンを鳴らすと、不規則な足音が近づいてきて、ガチャと鍵が開けられた。
「ごめん、今日も泊まっていい?」
「うん。ここでよければ」
開けられたドアの先、圭太の穏やかな声が聞こえた。
「……ただいま」
彼に向けて、そうつぶやいてみる。
「うん。おかえり」
その声を聞いた瞬間、胸がきゅっと縮み、涙が出そうになった。

