きたない心をキミにあげる。




店内は、いつも通り様々なゲーム音と流行りの音楽が混ざり合っていた。


愛美と一緒だから、いつもやってるオンライン系のゲームではなく、UFOキャッチャーが並ぶスペースへ。



「これ可愛い~。圭太取って」



愛美が指さしたのは、有名漫画の可愛いキャラのぬいぐるみ。


結構大きめのやつで、2本の細い棒の上に乗っかっている。


クレーン部分でぬいぐるみをずらし、下へ落とすタイプのやつだ。



「え、これ?」



何だこのテンプレすぎる展開は!


と思いつつ、ぬいぐるみの配置と角度をじっくり見てしまう。



これは……直前に誰かがゲットしたか、はたまた今日誰にも攻略されていないかのどっちかだ。


要は、何度かプレイしないと落とせないよう、店員が絶妙な場所に置いたままの状態。



「んー。置かれてるの初期位置だな。何回かずらさなきゃいけないし、結構お金かかるかも」



そうつぶやくと、彼女は「へ?」と片方だけ口角を上げ、俺を見つめた。



やべ。ガチで分析してしまった。


オタク丸出しじゃん!



「意外だね。圭太ってこういうのもやるんだ」


「ほら、ゲーセン限定のフィギュアってのがあって、その、友達と何回もやって攻略したことあるっていうか。あ、もちろん普通の景品も取ってた……」


「あはは。なんでそんな必死に言い訳してんの? とっくにあんたがオタクなのバレてんのに。ウケるー」



くそう。また笑われた。


なぜか、絶対取ってやるという闘志が芽生えた。



「これならすぐ取れそうだけど」



俺は隣のマシンに入っている景品を指さしたが。


「えー。何このメタリックな魚。可愛くなーい」


と却下されてしまった。ちっ。