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「あー疲れた。無理やり嫌いなものねじ込まれた感じ」
「俺も疲れた……。ちゃんと家でも復習しなよ」
「はーい頑張りまーす。ねー、それよりどっか寄ってかない?」
休日につき図書館は早めに閉まってしまう。
とりあえずは苦手科目の国語と数学と英語を終えることができた。
てか、主要科目が全部苦手って……やばすぎでしょ。
「いいよ。愛美は行きたいとこある? 俺、足こんなんだから限られるけど」
「うーん」
愛美はぷるぷるとポニーテールを揺らし、まわりを見渡した。
駅に続くこの道は、カフェや居酒屋などの明かりで埋め尽くされている。
まわりには若者の集団やカップルが多い。
愛美は俺のスピードに合わせてくれるため、その間を2人でゆっくりとしたテンポで進んだ。
これ、ちょっとデートっぽいかも。
俺なんかがこんなに可愛い子を連れて歩いている。すごい不思議だ。
ただ、可愛くて目立つ分、すれ違う男のほとんどが愛美をチラ見する。
そのことにはイラッとした。
こそばゆい気持ちともやもやした気持ちが生じてしまう。
「ねーねー」
愛美に腕を引っ張られ、はっと我に返った。
危なく彼女の肩にもたれそうになり、左足を下に踏ん張ってこらえた。
「な、何?」
「ちょっと遊んでこー」
そう言って彼女が向かった先は、ゲームセンターだった。
うわ。俺のホームじゃん。
知ってる人いなければいいんだけど……。

