「リハビリお疲れさま。どうだった?」
片方だけ松葉杖を使い病院を出ると、愛美の姿があった。
門の前で、ちょこんとしゃがんでいる姿は小動物みたいで笑いそうになった。
あれ、おかしいな。
駅前で待ち合わせしていたはずなのに。
「両足で歩く練習はじめた。って、わざわざここまで来てくれたの?」
「うん。圭太が立ったー! って一番に言いたかったし」
地面に両足をつけている俺を見て、愛美はバンザイをする。
ここはアルプスか! しかもそれハイジじゃなくて実はペーターのセリフだってこと知らないだろ! と突っ込みたかったが、
その前に彼女自身に目を奪われた。
私服。初めて見た。可愛いかも。
ダボっとしたパーカーにマフラー、
背中には缶バッチ付きのリュック。
ショートパンツから白スニーカーに向かってすらりと脚が伸びている。
ちょ、寒いのに脚、出しすぎじゃないですか?
適度に肉付きがあって、でも、細くて白くて。
美少女系フィギュアの三次元版か!
しかも、パーカーって。俺と被ってるじゃん。
「やっぱり上、圭太とおそろいになったー。だって、あんたパーカーしか持ってないでしょ」
「ちょ、何気に見てたの?」
「うん。結構似合ってるよ。意外と服装は脱オタしてるんだね」
リハビリ中はパーカーにジャージだったため、着替えてから病院を出た。
MA-1からパーカーのフードを出し、足元はギプスが取れたおかげでハーパンじゃなくて黒ズボン。
自分なりに精一杯のオシャレをしてきた。
まあ足元だけは右足にサポーターを巻いているせいで、左はスニーカーで右はクロックスだけど。
リア充女子に認められたようで、ほっとした。

