アニメを流したまま、
スマホを片手に右足首をゆっくり回したり伸ばしたりを続ける。
「つっ」
ぐっと曲げた瞬間、何かの神経に触ったのか、痛みを感じた。
と同時に。
「うわ! やべ」
体がびくついたため、指がラインの『送信』をタップしていた。
愛美に『何してるの?』ラインが送信されてしまった。
時間は午後5時半。
バイト中であってくれ……と願うものの、すぐに既読がついた。
『何? 私に会いたいの?』
ぷぷぷとバカにした笑みを浮かべたキャラのスタンプも送られてくる。
何だよ。あいつ。やっぱ意味わかんねー。
『会いたい』
くそ。たまにはドキッとしてみろよ。
この前、彼女の手首を頬にあてた時。
愛美は抵抗しつつも受け入れてくれた。
抱きしめた時には、早い鼓動が伝わってきた。
ためらいがちに目を伏せた彼女は、初めて見る表情をしていた。
ナマイキないつもの愛美ではなく、1人の女の子だった。
嬉しかった。
俺なんかで愛美が動揺してくれるんだと思った。
きっと彼女の方が恋愛経験が豊富なはず。
弘樹にだって恋していたんだし。
しかし、結局、愛美をそうさせたことを思い出す度に、自分の鼓動が早まるだけだった。
しかも『俺のこと傷つけていいから』って。
俺は何言ってるんだ? 変態か!? ドえむか!?
ふわりとソファーに手を置く。
そういえば、愛美はここで何度か寝ていたな。
うわぁ。無性にどきどきしてきた。

