サングラスコーナーに行くとレイバンのサングラスで普通のスクウエ型と言うのかそれに目が入った。


何よりフレームが濃いブルーでレンズが薄いブルーなのが珍しく気に入ってしまった。



値段は一万八千円程でレイバンとしては高くもなく安くもない値段だったが財布には一万五千円しかなかった。


銀行に行ってお金をおろす事も出来たし彼女に言えば一万位は貸してくれただろうが何故か僕はその選択肢を捨てた。



暑さのせいだったのかも知れない。


Tシャツで珍しくて出かけたせいかも知れない。


太陽が眩しくて人殺しをする小説を思い出して理不尽とはこういう事だな等と勝手に思う事にした。


僕は一旦店を出る。


周りを観察しながら歩いて反対側のバス停に戻る。


どうやって逃げるかのルートを確認したが単純だった。


彼女に店の前に車を付けて貰いそのまま乗り込んで真っ直ぐ降りて国道に出れば良かったのだ。



何だがワクワクしてきた所に彼女が車を停めて窓を開け僕の名前を呼んだ。

僕は急いで車に乗り込むと彼女にその話しをした。

とにかくばれないように取って来るから直ぐ前に車を停めててくれと言うと彼女は大笑いした。


その時僕は三十一歳で彼女は二十六歳だった。


お互いそういう事をやる年ではなかった。


そこがある意味お互いを刺激した。


彼女は僕のこういう馬鹿さ加減も好きだったようで僕もそういう話しに簡単に乗ってしまう彼女を好きだった。


お互い馬鹿だったが、それで良かったのだ。