それから、夜になりいつもの居酒屋で。
相変わらずの店主のニヤリ顔に、私は笑みを返し軽く頭を下げる。

その私の態度に少し目を丸くしたあと、岡田さんに向かって親指を立てて、部屋へと案内した。

……なんだそのグッポーズは。
さては岡田さん、店主に報告でもしていたか。


美味しい料理に、美味しいお酒。

クリスマスということもあり、ふたりで食べきれるくらいの小さなケーキに、シャンパン……ではなく、ウィスキーってところも私たちらしいと思う。

「オンザロックで、ケーキは隠された相性だな」

「甘いクリームにピリリと辛いウィスキーが、癖になる~」

……そんな感じで、その夜は思った以上に飲み過ぎたわけで。

翌日、起きたら岡田さんの家のベッドでふたりで寝ていて、起きてから「あれ?いつの間にここで寝てたんだ?」ってお互いビックリしたりして。

「俺、お酒飲んで記憶飛ばすこと、今までなかったんだけどなぁ……」

って、なぜか少し落ち込んでたけど、まあクリスマスだしそれもサンタさんからのプレゼントだったんじゃないかって意味不明な理由で結論付け。

何気ないことが、岡田さんと一緒だと楽しいって、そのとき思った。
こんな幸せな時間がずっと続けばと、そう思ってた。





――そう、そのときまでは。