コンビニから車を走らせて十分ほど、県道沿いにそのラーメン屋はあった。

お昼時間とあって、車がたくさん止まっている。
止められないかと思ったが、運よく食べ終わったお客さんが車を出してくれたので、すかさず岡田さんは空いたスペースに車を入れた。

片手でハンドルを操作し、後ろを確認しながら切り替えなしで定位置へと止める。

「さすが。運転上手いですね」

「そう?ありがとう」

褒められたからか、岡田さんは嬉しそうに微笑む。

ラーメン屋の中は、お客さんで賑わっていて人の熱気と厨房の熱気で暑いくらいだった。
カウンターにちょうど二席だけ空いていて、私たちはそこに通される。

私は岡田さんが言っていた醤油ラーメンを頼み、岡田さんはチャーシュー麺を頼む。
水を飲みながら待つこと数分、私たちの前にラーメンが出された。

食欲のそそる香りが、体内を通過する。
ぐううう、とタイミングよくお腹が鳴り、匂いによだれが出てしまいそう。

「「いただきます」」

箸を持ちながら手を合わせ、お互いにそう言うと、それぞれ食べ始めた。

透き通っているのにコクのあるスープがちぢれの細麺に絡まって、非常に美味。
煮玉子もチャーシューもしっかりと味が染み込んでいて、やみつきになる。

「凄く美味しい……!」

「でしょ?これだけ人がいるのも頷けるよ」

お腹が空いていたこともあり、手が休まることなく麺を掬っては口へと運んだ。

お腹が満たされる頃には、もう底が見えるほどとなっていて、いかに一心不乱にラーメンを食べていたのかが、それだけでも分かる。

「ごちそうさまでした。……はあ、満足」

「同じくごちそうさまでした。喜んでくれてなにより」

岡田さんは私を見ながらニコリと笑う。

一息ついたところで席を立ち、私たちは店を出た。
会計のとき、お昼くらいはせめて自分の食べたものくらいは出そうと思ったけれど、

「いいよ、俺が無理に誘ってるんだから気にしないで」

と言われ、しつこくするのもなんだから、そこは素直にお礼を言って甘えた。


……なんとまあ優しい男なんだ。
顔もスタイルも良くて、少し強引なところがあるけど、性格も悪くはない。
こんなに完璧な男が、どうして私を……。

近くにいて、少しずつ岡田さんを知るほどに、その疑問は大きくなっていく。