一瞬動かしていた手が止まり、私がバツの悪い表情をしたのを、岡田さんは見逃さなかった。

ニヤリと笑って、肩をポンと軽く叩く。


「嘘はダメだよ。すぐ顔に出るんだから」

「う……」

「罰として、土曜日俺に付き合うこと。昼に工場の近くのコンビニで待ち合わせな」

「ええ！？」

「来ないと、家調べて押し掛けるけど」

「そ、そんなぁ～」

「じゃ、そういうことで」

それだけ言うと、岡田さんは別な作業場へと行ってしまった。


なんてこった。
どうしてこうなった。


岡田さんがこんな人だとは思わなかった。
こんなに強引な男だったとは……。

思わずため息が漏れる。

これって、いわゆるデートってやつ？
でもまだ付き合ってるわけじゃないから、デートじゃないのか。

どっちにしろ、土曜日は岡田さんと長い時間ふたりでいなきゃいけないってことだけは変わらない。

「あー……、憂鬱」


ついそんな言葉が漏れてしまう。


機械が動く音がうるさすぎて、そんな呟きは私のどうしようもない思いと一緒に、すぐにかき消されてしまった。