「ずっと内緒にしてたの?」
「裏で東雲課長から連絡貰ってたんだ。当日まで内緒にしててって言われてね」
課長を見ると、してやったりといった満面の笑みを浮かべている。
「まずは、これ。今までお疲れさま、よく頑張ったね」
ニコリと笑って、私に大きな花束を渡した。
ふわりと甘い花の香りが漂う。
みんなからの思いが花束いっぱいに詰まっていて、感激で声にならない。
「あ、ありがとう……、みんな。本当に……」
拍手をする全員に向かって、花束を抱きしめながら深く頭を下げる。
涙が花びらにぼとぼとと落ちて、朝露のように濡れた。
ゆっくりと顔を上げ、涙を拭いながら自分の席へ戻ろうとすると、岡田さんに呼び止められる。
「ちょっと待って、もうひとつ里緒奈に渡したいものがあるんだ」
「もうひとつ?」
そう言うと、ごそごそとスーツのポケットに手を入れ、小さな箱のようなものを取り出した。
「……え?」
「エンゲージリング。どうせならみんなの前で……と思ったりして」
目の前で差し出されたものに、目を丸くする。
予想だにしないことで、涙もピタリと止んでしまった。
ええええ!?
こ、婚約指輪!?
い……、いまここで!?
混乱する私をよそに、岡田さんはその箱を開けて、中から指輪を取り出す。
リングの真ん中に付いたダイヤが店の照明に反射して、キラリと光った。
いつの間にか持っていた花束は課長の手にあって、岡田さんは私の左手を優しく自分の手の上に乗せると、銀色のリングをはめる。
そのリングは私の薬指にピタリと収まって、またキラッと光りを放った。
一斉に拍手や歓声が起こり、言われるがまま、芸能人の記者会見のようにリングを見せ、岡田さんと立つ。
もう恥ずかしいやら、嬉しいやら。
岡田さんは隣でニコニコと、満足そうに笑っていた。
「裏で東雲課長から連絡貰ってたんだ。当日まで内緒にしててって言われてね」
課長を見ると、してやったりといった満面の笑みを浮かべている。
「まずは、これ。今までお疲れさま、よく頑張ったね」
ニコリと笑って、私に大きな花束を渡した。
ふわりと甘い花の香りが漂う。
みんなからの思いが花束いっぱいに詰まっていて、感激で声にならない。
「あ、ありがとう……、みんな。本当に……」
拍手をする全員に向かって、花束を抱きしめながら深く頭を下げる。
涙が花びらにぼとぼとと落ちて、朝露のように濡れた。
ゆっくりと顔を上げ、涙を拭いながら自分の席へ戻ろうとすると、岡田さんに呼び止められる。
「ちょっと待って、もうひとつ里緒奈に渡したいものがあるんだ」
「もうひとつ?」
そう言うと、ごそごそとスーツのポケットに手を入れ、小さな箱のようなものを取り出した。
「……え?」
「エンゲージリング。どうせならみんなの前で……と思ったりして」
目の前で差し出されたものに、目を丸くする。
予想だにしないことで、涙もピタリと止んでしまった。
ええええ!?
こ、婚約指輪!?
い……、いまここで!?
混乱する私をよそに、岡田さんはその箱を開けて、中から指輪を取り出す。
リングの真ん中に付いたダイヤが店の照明に反射して、キラリと光った。
いつの間にか持っていた花束は課長の手にあって、岡田さんは私の左手を優しく自分の手の上に乗せると、銀色のリングをはめる。
そのリングは私の薬指にピタリと収まって、またキラッと光りを放った。
一斉に拍手や歓声が起こり、言われるがまま、芸能人の記者会見のようにリングを見せ、岡田さんと立つ。
もう恥ずかしいやら、嬉しいやら。
岡田さんは隣でニコニコと、満足そうに笑っていた。

