お陰で次の日は寝不足である。

身体もあちこち痛いし、だるくてしょうがない。


「おはよう、真壁。……おやおや、なんか疲れているなぁ」

なんて課長にニヤニヤしながら言われたけど、それに対してセクハラだと突っ込むことが出来ないくらい、私は疲れていた。

まあでも、不思議と心だけはスッキリと満たされていて。
片手しか使えないにも関わらず、自分でもびっくりするくらい仕事がはかどった。


――それから、三週間。

傷が塞がって包帯が取れ、少し皮膚が突っ張る感じはするけれど、前とほとんど変わらず右手は動かせることが出来た。

課長にも手の状態を報告して、ようやく自分の元の作業へ戻れることとなった。
一時はどうなることかと不安だったが、なんとか治って良かったと思う。


「手も動くようになったからさ、家に戻るよ。ゴメンね、今まで甘えちゃって」

「ええ!?戻る!?いいじゃん、もうこのまま一緒に住もうよ」

「そういうわけに行かないでしょ、怪我してからほとんど帰ってないんだからさ」

岡田さんは少し悲しそうな顔で私を見ている。
その顔を見ると少し胸が締め付けられる感じがして、なんだか申し訳なくなってしまう。

まったく、しょうがない奴だ。

「……あっちの荷物も整理しなきゃ、ここに戻って来れないじゃん」

「……え?」


「あっち、ちゃんと片付けなきゃ一緒に住めないでしょ!」