現場系男子にご用心!?【長編改訂版】

その言葉に、ごくりと息を飲む。

まさかストレートにそう聞かれるとは思わなかった。缶を握っていた手が動揺で少し震える。
課長は組んだ手をテーブルに乗せ、じっと私を見据えていた。

「ついていく、って……。それは、まだ。私この仕事辞めたくないし……」

「でも、それでは岡田ちゃんのことはどうする?あっちに行ったら早々戻っても来れないし、会える機会もぐっと減るんだぞ?戻ってくるまで、お前はずっと岡田ちゃんのことを待っているのか?それはお前にも岡田ちゃんにも辛いことじゃないのか?」

「それは……」

課長の言葉に、なにも言えなくなって口を噤んでしまう。

課長の言っていることが、岡田さんに付いていかせようと説得しているように聞こえたからだ。


……どうしてそんなに課長は、私を岡田さんに付いていかせようとしているんだろう。

もしかして課長は私がこんな怪我をしたから、遠回しに退職を促しているんじゃなかろうか。
怪我をした奴にはもう働かせられないと、そう思っていて……!?

そんな風に考えてしまったら、無性に悲しくなって涙が溢れてしまった。
課長の前でボロボロと涙を流し、それを見た課長はギョッとした顔で慌てている。

「ど、どうした真壁!お、俺、なんか変なことでも言ったか!?」

「そ、それは私がもうこの工場に必要ないってことですかっ……?こんな怪我をしてしまったから、もうここでは働けないと、だから岡田さんに付いていけって、そう言いたいんでしょう!?」

つい声を荒げてそう課長に言ってしまい、そのまま顔をテーブルに伏して年甲斐もなく声を出し泣いてしまった。

課長はわたわたと慌てながら、私の横へきて「違う違う!」と弁明していたが、その時の私は感情が昂っていて、課長のその言葉もほとんど聞き入れることが出来なかった。

「そうじゃないんだ、真壁!ちゃんと聞け!」

「だって!だって私がちょっとした気の緩みで起こした人災だし、そんな事故を起こした私なんか、ここにいてもまた同じように……!」



「聞け!!真壁!!!」