現場系男子にご用心!?【長編改訂版】

「作業、はかどってるか?」

そんなとき、課長がひょこっと部屋に顔を出し、私にそう言葉を掛けた。
私は作業の手を止めると、課長に身体を向ける。

「お疲れ様です、課長。久しぶりの検品なんで少し勘が鈍ってる感じがしますけど、問題ないです」

「そうか。ゆっくりとやっていいんだからな。あんまり無理するなよ」

そう言うと私の向かいに座り、缶コーヒーを置いた。

仕事中に缶コーヒー?

首を傾げて課長を見ると、課長は少し笑いながら言った。

「休憩しろ、休憩。昼以外休憩しないでずっと部屋にいて検品してただろう?ちゃんと見てるんだ、俺は。ついでだから少し話でもしようか」

課長も持っていたコーヒーのプルタブを開けると、ぐい、と一口飲む。

そう言われて断れるわけもなく、片手で部品をテーブルの端に寄せると、既に開けてくれていたコーヒーをひとくち飲んだ。

「……で、話ってなんですか?」

「ん?岡田ちゃんととのことだよ。寂しくなるな」

唐突に課長に切り出され、胸がドキリと鳴った。
なるべく仕事中は考えないようにしていたのに、その話をされるとやっぱり動揺が隠せない。

「そ、そうですね」

「本当は行って欲しくないのは山々だが、彼は優秀だから仕方がない。将来のためだ、行った方が必ず彼の経験の糧になるからな」

課長は足を組んで、前で腕を組みながらそう話した。

しかしそう言いながらも、課長の顔は少し残念そうな顔をしていて、その表情から見てもこの工場で岡田さんがみんなから慕われていたことが分かる。


「で、どうするんだ?お前は。岡田ちゃんに付いていくのか?」