ふわりと空気が動いた。
それから、机の上に影ができる。
静かに置かれたのは、瑞季くんの左手。
私の机に手をついて、やや屈んだようにして姿勢を落としたのがわかった。
柔軟剤のような、でも、人工的じゃなくて、やわらかい自然な、いい香りに包まれる。
これは、瑞季くんの匂い。
「話がある」
耳元で小さく、ぼそりと囁かれた声。鼓膜が震えた。ビクッと肩が上がったのがわかる。
この声はたぶん、私にしか聞こえていない。
それくらい小さくて、低い声。
ありえないくらい近い距離に戸惑った。
耳に熱が集中してる。うつむき加減の姿勢のまま、固まってしまって動けない。
「終礼終わったら、」
再び、吐息のような声がかかる。
だけど、その直後。



