廊下に出ると、冷たい風が一気に吹きつけてくる。



こんなに寒いのに、なんで窓開いてるんだろうとか、余裕のない頭で少しだけ考えた。



それから、5メートルほど前を歩く瑞季くんの背中を見つめる。


ドキン、ドキンってずっと心臓がうるさい。
見ているだけで、息がうまくできない気がした。




「矢代くん、待ってよ…!」




声が震えないように両手を握りしめて呼び止めたけれど、彼は私の声を無視して淡々と歩き続ける。



胸の奥がじわっと熱くなって、気を抜くと涙がこぼれてきそう。