「……で、用って何」
「あっ、えっと……」
聞かれて、急いでハンカチを差し出そうとすると。
「──ねぇ、さっきから何話してるの~?」
少し離れた場所で私達のことを見てたはずの美結ちゃんが、不意に間から顔をのぞかせた。
「ふたりって仲よかったっけ……?」
そんなことを聞かれて固まってしまう。
なんだか訝しげに私を見つめてくる美結ちゃん。
「……別に中瀬さんとはなんでもないよ」
私が何か言う前に瑞季くんが否定した。
その直後、
「ていうか、ごめんね北野さん。待たせて。そろそろ行こうか?」
私に背を向けた瑞季くんが、美結ちゃんに優しく笑いかけた。
それに嬉しそうに頷いた美結ちゃんが瑞季くんの腕をとって歩きだす。
「あさひちゃん、また明日ね!」
差し出しかけたハンカチには気づいてもらえないまま、また距離が遠ざかっていく。



