……最後。


最後だなんて、そんなこと言われたっけ……と思い出してみる。

そういえば抱きしめてくれた時に「今日だけだから」って、言ってた……。



最後って

私と一緒に帰ってくれるのが?

あんなに優しく話してくれるのが?

私の名前を呼んでくれるのが?



もう全部、してくれないのかな。



じゃあ、なんであの時抱きしめてくれたの……?



わかんない。瑞季くん。


廊下の曲がり角の奥の方から、笑い声が混ざった女の子たちのはしゃいだ声が聞こえてきた。


それはこちらに段々と近づいてきてて、あと数秒後には私たちが見える位置まで来てしまう。


瑞季くんと学校で話すことを禁止されている私。今回、話しかけてきたのは瑞季くんの方だけど、離れた方がいいのかな……と。


私がそう思うより一歩先に、瑞季くんがくるりと背を向けた。

その直後、鋭い舌打ちが聞こえて。



「お前のせいで、」


と、背を向けたまま瑞季くんが言った。