幼なじみのフキゲンなかくしごと



……早く、立ち去らないと。

まだ気づかれていない。



だけど、足がその場に張り付いたように動かなくて、少しでも気を抜くと力が抜けてその場に崩れてしまいそう。



一歩……あと一歩だけ下がれば、完全にあっちからも死角になるのに。



「瑞季……もっかい……」



女の子の口から吐息のような甘い声が漏れたあと、2人の視線が絡んで、自然な流れで唇が重なった。




妙に冷静な頭の中で

なんだ、そういうことかって、納得する自分がいて。



でも、心の中はぐちゃぐちゃで

どろどろしてて

どうしようもなく涙で濡れていた。