「はあ?! また矢代くんのせいで泣いてるの?」
その大きな声にビクッとする。
周りにいた人たちの視線を浴びながら、私は慌てて涙を拭い、首を横に振った。
「ち、違うよ!ちょっと……ほんと、なんでもない!!」
そんな誤魔化しを最後まで聞かないうちに、友香ちゃんは私の腕をグイッと引っ張った。
「保健室行こ」
「えっ」
「山崎くん。先生に、あさひは具合が悪いって言っといて?」
「ああ……わかった」
ええっ……。
「ちょっ、友香ちゃん…っ」
私の声を無視して、友香ちゃんはズンズンと歩き始める。
教室を出る際に、チラリと瑞季くんを盗み見た。
……私たちの会話、聞こえてた?
私のこと、うざいって思った……よね。
なんて、今さら。
こちらのことなんて全く気にも留めない様子でクラスの女の子たちと喋ってる瑞季くんを視界のはしに捉えると、
また胸がズキッと痛んだ。



