「ねえ山崎くん。そこあたしの席なんだけど」
聞き慣れた声が後ろから飛んできたかと思うと、友香ちゃんが立っていた。
「あっ、悪い」
慌てたように山崎くんが席を立つ。
「それは別にいいけど……山崎くん、あさひに何かした?」
「えっ? ただ喋ってただけだけど……」
「じゃあ、なんであさひ泣いてるの?」
………えっ?
慌てて目元に手を持っていくと、
「えっ…?あっ」
熱い雫が指先を濡らす。
大好きな親友を目の前にして安心したのか、緊張が切れてしまったらしい。
情けない……。
山崎くんが急にオロオロし始めて、
「だ、大丈夫だよ中瀬さん!瑞季はあーゆーヤツだから! ね?」
と私の肩を励ますように叩いた瞬間。
友香ちゃんの目の色が変わった。



