「山崎くんはなんで急に、私にそんなことを聞いてくるの?」
「えっ」
まさか逆質問されるとは思ってなかったのか、彼は一瞬目を丸くした。
けれど、すぐに真顔に戻ると
少し気まずそうに私から目を逸らす。
「それ…は、瑞季が……」
「……瑞季くんが?」
ドク、ドクと心臓が嫌な音を立てる。
あとに続く言葉が全く想像できない。
知りたいけど、何を言われるのか怖くて
ぎゅっと手を握りしめた。
「瑞季が唯一、他人に対する自分の感情を見せる相手が中瀬さんだったから」
「……え?」
「他人に何の関心も見せないくせに、中瀬さんのことだけは、嫌いだって、はっきりそう言うから……」
よほど傷付いた顔をしてしまったらしい。
山崎くんは私を見て、しまったというような顔をした。



