「ずっとそばにいさせてくれるんじゃないの?」


「……」


「そばにいれるんだったら、忘れない」



ずるい、と言って

瑞季くんは深いため息を落とす。




「一番最初に、俺に渡した手紙、何て書いたか覚えてる?」

「……覚えてるよ」

「あの時の気持ち、今でも変わってない?」



「変わってるわけないじゃん」

「……そっか」



ふただび、ため息。

ため息というより、深呼吸。


繋がれた手に 力がこもった。



「おれ、ほんとはあれに、返事を書いてたんだ。結局渡せなかったけど、何回も見直したから文面ぜんぶ、覚えてる」



瑞季くんの瞳が揺れる。



「そしてその返事と今の気持ち、俺も変わってないから聞いてくれる?」



黙ってうなずく。

そして、手をつよく握り返した。