太ももの上に、ぽとりと雫が落ちる。 「なぁ」 「うん」 「おれ、今めちゃくちゃ恥ずかしいこと言った」 「……うん」 「忘れてよ、前みたいに」 「いやだよ」 「うん」 「……」 「忘れないでね、俺のこと」 手を繋いでる方とは反対の手 瑞季くんの指先が 私の涙をそっとぬぐった。