「瑞季様には、あさひ様が必要だと……私はそう思っております」



静かな声だった。

言葉が私の胸を揺さぶった。



「瑞季様が決められたことに口を出す権利はありません。ですが私は、あの方が小さい頃からずっと見て参りました」



胸の奥で、ドクドクと激しい音がなっている。


「あさひ様が今傷ついていらっしゃることも分かっています。会ってしまえば、またあの方はきっと、あなたを傷付けてしまう」



それでも、と生駒さんは言った。



「どうかもう一度、瑞季様とだけ会っていただけませんか」



深く頭を下げて。

瑞季くんにとって、私は邪魔者なはずなのに。

こんな必死な生駒さんを見たら、首を横に振る事なんてできない。


だけど、うなずく覚悟もなくて、私は
ただ足元を見つめるばかり。