そのとき、


扉が静かに開いて、中から人が出てくるのがわかった。


慌ててもう一歩、うしろに下がる。


その人と目が合って、声を上げそうになった。



「来ておられたのですね。瑞季様は中で休んでおられますよ。心配なさらずとも、1週間もすれば退院できるそうです」



生駒さんの表情は相変わらず優しかった。



「葛西様も山崎様も、ありがとうございます。瑞季様もきっと喜ばれますよ」



そして、私たちの背中をそっと中へ促してくれる生駒さん。


私は慌てて首を振った。


生駒さんは少し寂しそうに笑って、それから葛西くんと山崎くんをひとまず先に病室へとうながす。