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「あさひ、大丈夫……?」
なんとか自分の教室に戻ってこれた私を、友香ちゃんが心配そうに気遣ってくれた。
「私は大丈夫、だけど……」
「矢代くん、どうしたんだろうね」
あの後、すぐ先生たちが駆け寄ってきて瑞季くんを介抱していた。
その数分後に救急車のサイレンが聞こえてきて……。
最後まで、瑞季くんの姿を見ることはできなかった。
終業式は中断され、私たち生徒は強制的に教室に戻らされて、そのままクラスごとにHRをして解散……ということになっていたけれど。
瑞季くんに付き添ったのか、担任の先生がいない私のクラスはHRさえ始めることができず、皆戸惑った表情を浮かべている。



