よく考えれてみれば、そうだよねって思う。



皆に内緒で突然転校なんて、するわけないだろうし、先生も瑞季くんのことには触れなかったし。



「それに、ほら、矢代くんのロッカー見て? 置き勉してる教科書とかちゃんと残ってる」




友香ちゃんに言われて後ろのロッカーに目を移して、少しほっとする。



「うん。転校なんて、するわけないよね」



半ば自分に言い聞かせるようにして笑った。



「そーだよ馬鹿なこと言ってないで、ほら、急がないと生物遅れる!」



友香ちゃんの明るい声に背中を押されて、私たちはようやく教室をあとにした。




なんで私、瑞季くんがもう来ないとか考えちゃったんだろう。


ばがだなあと、自分に対してため息が出る。



きっと瑞季くん、風邪でもひいたんだ。


だって昨日、寒かったし。


きっとそう……。