小学校時代、児童数が多いこともあってか、あさひと同じクラスになったことは一度もなかった。
それにもかかわらず定期的に顔を合わせないと気が済まなくて毎日のように互いの教室を行き来していたし、一緒に登下校するのも当たり前だった。
あさひといるのが楽だった。
幼稚園からずっと一緒にいたあさひが、俺のことを1番理解してくれているのを知っていたから。
低学年の頃は気にならなかったけれど、学年が上がるにつれて周りが自分によそよそしくなっていくのが分かった。
友達と集団で悪いことをしでかしても、俺だけが怒られない。先生は腫れ物に触るように俺を扱う。
同級生たちは、仲良くしてくれる奴もたくさんいたけれど、どこか皆一線を引いていて。
俺の機嫌をとるような態度や愛想笑い、過剰な気づかい。どれも死ぬほどいやだった。
そんなことは気にしてない、気づいてない風を装って、俺も周りに合わせて笑っていた。
自分が " 矢代 " の人間だから……仕方ない事なんだって。
自分が特別だなんて、俺はそんなこと思ったことすらなかったのに、他人はそうは思っていない。
セカイに、軽く絶望した。
