ここは誰もいない視聴覚室の中の、さらに小さな室内。
「触らせてんなよ」
手が伸びてきて、指先が私の肩に触れるギリギリのところで止まる。
「葛西」
「っ」
「……と、最近仲良いよね」
「それは……係がいっしょだから」
「……」
「そもそも、そんなに仲良くなんてないよ……」
顔を赤くして精いっぱい答えてるのに、瑞季くんはなんの表情もなくじっと私を見つめてくる。
「あんまり、俺以外に隙つくらないで」
「隙……?」
「俺はお前が幼なじみだって、もう隠すつもりないよ」
「っ、ほんとに?」
瑞季くんがうなずく。