視聴覚室内のパイプ椅子が収納されている小部屋は、いわば密室で、中に入るとドキドキ感が増してさらに息苦しい。



「ん、」



私が持っている椅子を取り上げて、まとめて片付けてくれる瑞季くん。


手が触れ合ってドキンと心臓が跳ねる。



どんどん手際よく並べていく。


そんな姿に胸の奥がきゅうっとなって、体温が上がったように感じる。



直視できない。


瑞季くんといると、自分がいつもヘンだ。



「あさひ、」



最後の1つを並べ終えたと同時、

そっと囁くような声が、響いて消えた。