お昼休みに入った校内はたくさんの人が行き来していて、廊下に出ると何度も人にぶつかりそうになる。
視聴覚室に着くまでのあいだ、女の子たちからの熱い視線を痛いくらい感じた。
やっぱりどこにいても目立つ瑞季くん。
私と一緒にいるのを見られたくないだろうなって思ってそっと距離をとると、瑞季くんは不意にこっちを振り返った。
「どうした? 重い?」
「え?あ、 いや、大丈夫……」
「そう。あんまり離れるなよ、不安になる」
「っ、うん」
調子狂う。
学校で普通に接してくれているだけで驚きなのに、「離れるな」とか。
深い意味はないってわかってるのに、
心臓うるさい……。



