───「兄ちゃんと話したんだね」



ドアを閉めると、すぐ2つ先の部屋の前に依吹くんが立っていた。


いつからそこに……?



「私が出てくるの待ってたの?」


「まあね」



「話……聞こえてた?」

「ううん、全然。壁、防音だし」



そっか……。そうだよね。

なんとなくホッとして息をつく。



「兄ちゃん、何て言ったの?」


「それは……」


ゆっくりと、さっきの会話を思い出してみる。

まだ、あの体温が肌に残ってる。



「これからは毎週、私と会ってくれるって」

「……」


「……? 依吹くん?」



考え込むように黙った依吹くんを見て、また新たな不安が押し寄せる。