だって、何回も、はっきり言われたのに。
" お前のこと、ずっと前から嫌いだった "
あの日から、この言葉がずっと頭から消えないんだよ……。
「兄ちゃんも、けっこう苦しんでるんだと思うよ。何が正しいかなんて分からないような世界に、無理やり足突っ込まされて」
「……?」
「本当に大切なものを手放す努力を、今のうちにしとかなきゃいけない。でも中途半端だから、結果、相手を傷つけてる」
「……依吹くん?」
目を逸してそんなことを呟いた依吹くんに、ざわざわと胸が音を立て始める。
「まぁ、しょうがないよね。あさちゃんはまだ、何も知らないんだから」
本当に小さい声で、ぽつりと。
ひとりごとみたいに そう言った。



