瑞季くんは優しい顔で笑う。
またそんなやわらかい表情。
どうしてそんな顔で笑うの?
私のこと嫌いなのに、覚えててくれたの?
ずっと冷たかったくせに。ずるい……。
やっぱり夢なんじゃないかなと不安になったところで、再び瑞季くんと視線がぶつかった。
「何話す?」
「え?」
「俺と話したかったんでしょ」
「っ、うん」
話したいこと。
そんなのたくさんありすぎて、何から話せばいいのかわからない。
今、瑞季くんと一緒にいるっていうことだけでどうにかなりそうなのに……。
私が口を開こうとすると、瑞季くんがさえぎった。
「なんでも話していいけど、俺に何か聞くことはナシね」
「……どういうこと?」
「俺が自分からあさひに話すこと以外は言及しないで。俺の話は黙って聞いてればいいから」
「……わかった」
勢いでうなずいてしまったけれど。
やっぱりわかんない。
どうしてそんなこと言うの?
瑞季くんのこと聞いちゃダメって、なんで?
そんなこと言われたら、余計に知りたくなるのに。気になってしょうがないのに。



