──生駒さん。
瑞季くん家の……矢代家の執事さんだ。
瑞季くんと関わらなくなってから長らくお会いしてないから、私のこと覚えてくれてるか分からない。
それにしても、車を待たせてあるって。
いったいいつ連絡したんだろう。
だけど、これで瑞季くん濡れなくて済むし、よかった……。
傘から流れ落ちていく水滴を見つめながらほっと息を吐く。
「今晩、生駒さん私用で外に出るらしくて」
突然。
真っ直ぐに前を見つめたまま、瑞季くんが言った。
「夕飯とかはもう準備してくれてるんだけどさ」
淡々とした口調で話し始める。
私に話しかけてる……んだよね?



